診療科・部門紹介

足の外科のご紹介

  • 当院では足の外科の専門的治療を行っています。
  • 保存的加療では、患者様に合った適切な装具を処方しています。
  • 保存的加療では治療効果が不十分と思われる場合、手術加療をしています。手術の適応は厳密に考えていますが、患者様のご希望も重要な要素と考えています。
  • 手術では、術前計画に十分時間をかけ、ひとりひとりの患者様の状態に合った手術法を選択しています。
  • 常に国内外の文献に目を通し、従来の手術法に対して検討・改良を加えています。
  • 内視鏡を多用し、なるべく小さな傷で手術が行えるよう工夫しています。

 <足の外科手術実績> 平成26年:170件、平成27年:262件、平成28年:278件

 次の疾患を以下で説明しています(クリックでジャンプします)。

1.外反母趾

外反母趾の手術適応には次のようなものがあります。
① 見た目が気になる。
② 母趾の付け根が出っ張って痛い。
③ 足の幅が広くなったり、趾が重なったりして、合う靴がなくなってきた。

これらの場合、手術によって変形が矯正され、症状の改善が期待できます。

DLMO法(デルモ法) 軽度から中等度の外反母趾に対して行います。外反母趾で出っ張った部分(第1中足骨頭)のすぐ下で骨切りし、第2趾のほうに押し込みます。押し込んだ中足骨頭がもとの位置に戻ってこないよう、ブロックするためのピンを1本刺しておきます。骨癒合がある程度得られたところで、そのピンは外来で抜いてしまいます。
この術式の原法は1982年にLamprechtとKramerがドイツ語で発表しましたが、Gianniniが原法を簡略化したものをSERI(simple, effective, rapid, inexpensive)と命名し、英語論文で発表してから世界に広がりました。日本では慶應大の井口先生が命名したDLMO(distal lineal metatarsal osteotomy)の名で知られています。
1.5cm程度の小さな皮切、骨切り1回・ピン刺入1本という手術方法の簡便さ、回旋変形(外反母趾では母趾が外向きにねじれています)に対する矯正力、術後リハビリの痛みの少なさ、見た目の優れた改善度など、どれをとっても一級品の手術法です。
日帰り手術も可能です。
DLMO原法(Lamprecht法) DLMO法は、軽度~中等度の外反母趾(外反母趾角が40°未満)が適応とされていますが、いかにしたら適応が広げられるかを多くの足の外科医は考えており、学会でもそうした発表を目にします。
その答えは、DLMO法の原法にあたるLamprecht法にありました。Lamprechtは、遠位中足骨に対し、楔状骨切りを加えた上で中足骨頭を第2趾のほうに押し込み、ブロッキングピン1本で固定する方法を考えました。この方法の優れた点は、楔状骨切りによって、中足骨頭~基節骨の角度はそのままに、外反している母趾を起こすことができる点にあります。重度外反母趾に対するほかの手術法であれば、外反している母趾を起こすため、中足骨頭~基節骨の外側にある拘縮した靭帯や筋肉を解離して、中足骨頭~基節骨の角度を矯正するのですが、Lamprechtは、その部分にはあえて手を付けないようにしながら矯正しているわけです。しかも楔状骨切りによって、中足骨の断端をへこませる処置を兼ね備えているのも絶妙です。
Gianniniは、Lamprechtの楔状骨切りを一度の骨切りに簡略化した方法をSERIと名付けて発表し、それが現在の日本でのDLMO法となっているのですが、DLMO法は、骨切りを一度にしたことによって、外側の拘縮への対応が不可能になり、また、骨切り後の中足骨の断端の突出も未処置になった、すなわち、重度への適応を捨てながら簡略化された術式であることを理解しなければなりません。逆にDLMO法の適応を拡大したいのであれば、Lamprecht法へと「先祖返り」すればいいだけです。当院ではLamprecht法により、外反母趾角65°程度まで“DLMO法”の適応を拡大しています。手術時間は20分程度、日帰り手術も可能です。
2.強剛母趾

① 母趾の付け根が痛い。
② 母趾が反らしにくくなってきた。
③ 母趾の付け根の関節がが膨らんで、靴にあたって痛い。

母趾の付け根の関節(MTP関節と言います)の年齢的変化により、母趾を反らしたときの痛みや可動域制限、MTP関節にできた骨棘が靴に当たることによる痛みなどが特徴的な疾患です。 まずは保存的治療(インソールの作成やテーピングなど)を行いますが、長期成績の研究によれば、保存的治療では、10数年後も同程度の痛みが変わらずにあることが報告されています。すなわち、現在の痛みで手術のほうが望ましいと判断される場合は、手術適応となります。

関節鏡下骨棘切除術
(関節唇切除術・関節縁切除術)
観血的に(皮膚を大きく切開して)骨棘を切除する手術法は従来から行われている術式で、現在でもスタンダードな治療法です。関節軟骨がまだ十分残っているとき(レントゲン上の関節裂隙の狭小化が50%未満のとき)には90%の改善率と報告されています(狭小化が50%以上では、改善率は50%に下がります)。
当院では、関節鏡による最小侵襲手術を行っています。この方法は世界でもわずか数本の論文が発表されているだけの、行える施設が皆無に近い手術法です。
MTP関節自体が小さいことに加え、関節に接する種子骨周囲は強力に靭帯結合しているため、MTP関節鏡は他の関節に比較して群を抜く難しさです。そのため、現在のところ確立された方法がなく、唯一、鏡視所見を図解している1996年のFerkelの方法ですら、これに習って関節鏡を行うと、肝心なところが見えず、かつ、滑膜・骨棘切除などの関節内処置も十分にできないといった状況です。
そこで当院では、Ferkelの方法にとらわれない別のポータルを駆使することで、関節腔全体を鏡視でき、かつ関節内病変も処置できるような方法を考案し、手術を行っています(ポータルの位置はT.H. Luiの方法に近く、ほか、いくつかの工夫を加えています)。これにより、従来から行われてきた「骨棘切除術」の治療成績を上げるにとどまらず、強剛母趾の病態の解明にも大きな貢献をすることができるのではないかと期待しています。
第1中足骨底屈短縮
骨切り術
強剛母趾の方のほとんど(94%と報告されています)は第1中足骨が上に持ち上がっています。加えて、強剛母趾の方は第1中足骨がほかの中足骨に比べて長い傾向にあります。すると、足を踏み返す際、長くて持ち上がっている第1中足骨はいつまでも踏み返されずに残るため、母趾のMTP関節に軸圧がかかるようになり、強剛母趾が発症するのではないかと推測されています。そこで、第1中足骨を骨切りして短縮・底側にずらすと、MTP関節にかかる圧が少なくなるために痛みが減り、かつ、拘縮していた腱や関節包などがゆるんで関節可動域が広がります。
「底屈短縮骨切り術」という発想は、1982年のYoungswickの方法が最初と思われますが、2005年にDernerらの発表以降、スタンダードな術式と認識されてきました。当院では、Dernerの手術法を改良したDLMO法と同様の低侵襲な方法で行っています(骨切り部をピン1本で固定する20分程度の手術です)。日帰り手術も可能です。
なお、当院では、MTP関節の関節固定術・切除関節形成術・人工関節は行っておりません。理由は、第1中足骨底屈短縮骨切り術と関節鏡手術の組み合わせで、ほとんどの場合、症状が改善するため、関節機能を犠牲にする手術をするまでには至らないからです。
3.母趾種子骨障害(母趾種子骨炎、母趾種子骨疲労骨折)

①スポーツなどで母趾に負荷がかかって以来、母趾の付け根の足裏の痛みが取れない。
②母趾の付け根の足裏にタコがあり、歩くと痛い。

母趾の付け根の関節(母趾MTP関節と言います)の足裏側には、母趾種子骨という2つの骨があります。この骨は短母趾屈筋の中に含まれていて、母趾を踏み返す際、短母趾屈筋が中足骨頭にこすれすぎないようにしたり、2つの骨で作られるすきまで長母趾屈筋腱の方向づけをしたりする骨です。
母趾種子骨それぞれは通常まるくひとつの骨ですが、19~31%の方は2つに分かれており、それらは線維性組織で結合しています(分裂種子骨と言います)。分裂種子骨は内側が80%で外側が20%、両足例が90%と報告されています。
線維性結合している部分は骨に比べれば力学的に弱く、負荷がかかった時に線維結合周囲で微小骨折を起こし、頑固な痛みの原因となることがあります。また、人によっては第1中足骨が下向きになりすぎていて、その下にある種子骨が足裏の皮膚を圧迫し、有痛性胼胝(タコ)を作ることもあります。いずれの場合も、装具などでの保存的治療で軽快しない場合、手術によって症状改善が期待できます。

関節鏡下種子骨切除術 当院で開発した母趾MTP関節鏡は、母趾種子骨障害に最も威力を発揮します。関節鏡下種子骨切除術は、英語文献で過去に2例しか報告がない、行うことのできる施設が皆無に近い手術法です。
従来の方法では、内側の種子骨障害の場合、母趾の内側に3cm程度の傷口をおき、種子骨-中足骨間の靭帯はすべて切離して展開しなければならず、外側の種子骨障害に至っては、さらに大きな傷口とするか、足裏に傷を作ってアプローチするしかありませんでした。この大きな侵襲により、普通の生活に戻るのに、アスリートで7.5週、一般の方で12週かかったと報告されています。
それに対し、関節鏡下種子骨切除術では、内側種子骨でも外側種子骨でも5mmの傷口2-4か所のみで、靭帯は切離する必要がありません。当院での症例では、術後は翌日から独歩、1週間で仕事復帰が可能となっています。
4.中足痛症(中足痛、中足骨痛症、中足骨頭部痛、中足骨骨頭部痛、metatarsalgia)

①前足の裏にタコがあって痛い。
②前足の甲がしびれる。

足には「縦アーチ」と「横アーチ」があります。縦アーチとはいわゆる「土踏まず」のことを指し、一方、横アーチとは足を前から見たときに足指の付け根がつくるアーチのことを言います。この横アーチによって足の親指と小指の付け根が最下点となり、踵を含めた3点で足は体重を支えることになります。
ところが、この横アーチにはかなり個人差があり、中指だけ下がっていたり、平坦だったり、船底のような逆アーチのようになっていたりすることがあります。すると、本来体重を支えるべきでないところで体重を支えるため、その部位に有痛性胼胝(タコ)をつくることがあります。これが中足痛症(metatarsalgia)です。また、このような状態のとき、前足の甲に痛みやしびれを感じることもあります。前足にしびれがあるため、モートン病と診断されることも多い疾患です。
中足痛症自体、近年まであまり注目されてこなかった疾患で、たとえばアメリカの足の外科学会AOFAS (American Orthopaedic Foot and Ankle Society)の出版するレビュー雑誌でも、2014年の第5版になってはじめて取り上げられています。
まずはアーチを支えるインソール(アーチサポート)で様子を見ますが、もとはと言えば解剖学的な形自体がくずれているため、根本的な解決法ではありません。インソールで症状が改善しない方や、インソールに頼った生活を好まない方に対しては、手術によって正常な横アーチをつくることで、症状を軽減させることが期待できます。

矯正骨切り術(Weil法) あるひとつの中足骨がほかの中足骨に比べて長いため、横アーチが崩れている場合があります。前足の裏にピンポイントの狭いタコがあるのが特徴です。手術では、その骨を短くすることで、ほかの中足骨とのバランスを整えます。この方法はWeilが1985年に考案しました。
矯正骨切り術(BRT変法) 長さには問題ないものの、ある中足骨の傾斜角が急なために横アーチが崩れている場合があります。この場合、傾斜の強い中足骨を骨切りして持ち上げることで、自然な横アーチを回復します。
中足骨の長さを保ったまま持ち上げるこの手術法は、2000年にフランスの足の外科医Barouk, Rippstein, Toullecが考案し、その頭文字を取ってBRT法と命名されています。Weil法と同様に、今まで手術の対象となることがほとんどなかった中足痛症の治療に光を当てたすばらしい手術法です。
BRT原法は、中足骨の基部を楔状に薄く骨切除して持ち上げ、1本のスクリューで止める方法ですが、スクリューの刺しどころが狭く、うまく固定力が出せなかったり、基部での骨切りによって遠位の中足骨の位置を調整するという手技的な構造上、挙上の微妙なコントロールがつきにくかったり、さらに靭帯にも手術の影響が及ぶため術後の痛みが遷延したりと、いろいろ難しい要素を含んだ手術法でした。そこで当院では、靭帯のない中足骨の骨幹部で楔状骨切りし、ある方法で自然な横アーチを作りながら、手の外科用の微細なプレートを用いて固定する方法に改良し、手術を行っています。
5.アキレス腱付着部症(アキレス付着部炎・腱滑液包炎 アキレス腱石灰化症・骨化症 Haglund病)

① アキレス腱が痛い
② 踵が腫れていて痛い

アキレス腱が痛い疾患は、大きく分けて、「付着部症」と「非付着部症」にわかれます。付着部症は、文字通り、アキレス腱のかかとの付着部が痛くなる疾患で、非付着部症は、アキレス腱のかかとの付着部から遠いところが痛くなる疾患です。
まずは痛み止めの薬やストレッチ、注射などで様子を見ることになりますが、保存的治療に抵抗性の場合、手術を検討します。

内視鏡下骨切除術 アキレス腱の付着部症のうち、滑液包が痛くなるアキレス腱滑液包炎・Haglund病では、滑液包周囲を郭清したり、突出した踵骨の後上隆起を削ったりします。これに対する内視鏡手術は2003年に発表されて以来、少しずつ足の外科専門医の中で広まってきています。 一方、アキレス腱付着部症のうち、アキレス腱付着部が骨化する「アキレス腱付着部石灰化症・骨化症」は、保存的治療の成績が50%程度と、あまりよくありません。しかも、その手術方法は、アキレス腱の付着部をいったん踵骨から切り離し、別の部位から取ってきた腱で再建するといった、かなり侵襲の大きなものになるのが一般的です。
当院では、今まで内視鏡手術が行われてきていなかったアキレス腱付着部石灰化症・骨化症に対して、独自に内視鏡手術を考案し、手術を行っています。術後3週間のシーネ固定後(シーネ固定中も荷重歩行は可能です)、普通の歩行に戻し、2か月より軽いジョギングを許可しています。傷口は5㎜2か所と小さく、術後の回復は、過去の文献での報告より明らかに早くてよいため、今後広く公表していきたいと考えています。
アキレス腱再建術 まずは全例、内視鏡手術で様子を見ることとなりますが、アキレス腱に強い負荷のかかるスポーツを希望される場合、最初からアキレス腱再建手術を検討することがあります。当院ではアキレス腱に沿った皮切から、上記のような処置をしたのち、大腿直筋と膝蓋骨の一部を採取し、アキレス腱を再建する手術を行っています。
6.足底腱膜炎(足底筋膜炎・踵骨棘)

① 朝起きると踵付近の足裏が痛くなる。
② 立ち仕事で、ずっと立っていると踵付近の足裏が痛くなる。
③ マラソンが趣味だが、踵付近の足裏が痛くて仕方がない。

いずれも足底腱膜炎であることの多い症状です。足底腱膜とは、足のアーチを崩さないように足裏に張っている膜状の腱で、その付着部の踵の骨に痛みが出ます。アキレス腱や母趾のストレッチ、テーピング、足底挿板、注射、体外衝撃波などの保存的加療によって1年で9割程度軽快しますが、1割は難治性です。
大半は軽快するので、気長に保存的加療を続けるのでよいわけですが、状況(状態)次第では手術加療も検討してよいと思います。そのような状況(状態)とは、
① あらゆる保存的加療を長期にわたって受けたが、いっこうによくならない。
② プロスポーツ選手、立ち仕事、肉体労働などをしており、仕事に支障が出ているため、できるだけ早く治したい。
③ いつ自然軽快するかもわからないまま、漫然と保存的加療を続けるのは希望しない。
などです。

内視鏡視下足底
腱膜切離術
6か月程度経っても改善しない難治性の足底腱膜炎の方に対し、ご本人の意向も踏まえながら手術するかどうか検討します。踵の両側に5mm程度の傷口をつくり、一方から内視鏡、もう一方から器具を入れ、痛みの原因となっている足底腱膜の踵骨結節付着部(足底腱膜全体の1/3程度)を切離する低侵襲な手術です。
足底腱膜炎の病態を把握するのに最も重要な神経は「外側足底神経第1枝」です。外側足底神経第1枝は筋枝と感覚枝にわかれ、感覚枝は踵骨結節に終わります(より詳しく言えば、踵骨結節に終わる枝を出しながらさらに外側の足底腱膜へと分枝します)。足底腱膜炎の痛みの部位は踵骨結節部にありますので、この感覚枝が脳へと痛み刺激を伝えているわけです。また、筋枝は、足底方形筋と短趾屈筋に枝を出しながら、短趾屈筋の直上を踵骨に沿って外側へと行き、小趾外転筋で終わります。
実はこの解剖学的知識は、1986年にRondhuisらが発表した論文に記載されているだけで、あまり知られていません(アメリカの権威ある足の外科の教科書ですら、足底腱膜炎の手術として、外側足底神経第1枝をまるごと切断する方法を載せています)。当院では、この解剖学的知識をもとに、従来の内視鏡手術の方法を、感覚枝の行く踵骨結節部だけを確実に郭清し、かつ筋枝損傷の合併症の少ない方法へと改良しました。
7.外脛骨障害(有痛性外脛骨)

① 足の内側に骨の出っ張りがあり、靴に当たって痛い。
② 足の内側に骨の出っ張りがあり、足をひねって以来痛みが取れない。
③ 足の内側に骨の出っ張りがあり、スポーツをすると痛くなる。

2-14%の人に、足の内側に「外脛骨」と呼ばれる骨があることがあります。多くは無症状ですが、ちょっとした捻挫などをきっかけに症状を出し始めることがあります。
発生学的には、足の骨はすべて腓骨由来なのに対し、外脛骨だけはその名の通り脛骨由来と、他の骨とは違う起源を持っています。また、機能的には、外脛骨は後脛骨筋腱の「種子骨」(腱の中に埋まっていて、腱の動きの助けをする骨)です。
外脛骨が種子骨として後脛骨筋の動きを助けるという本来の働きをしている場合は、症状はありません。ところが、人によっては外脛骨が舟状骨とくっついていることがあり、その場合、いろいろな症状を出すことがあります。これが「外脛骨障害」です。
外脛骨と舟状骨のくっつきかたには2種類あり、それぞれで症状の出方が異なります。外脛骨と舟状骨が完全にくっついてひとつの骨になっている場合は、出っ張っているということだけが問題となります。一方、外脛骨と舟状骨が線維性組織や軟骨などで中途半端につながっていることがあり、この場合は、捻挫やスポーツなどがきっかけで、結合部分が損傷し、痛みが続くことがあります。
まずは保存的治療(安静やシーネ固定、注射、靴の中敷きなど)をしますが、治療成績は2~3割程度と報告されており、あまりよくありません。保存的治療に抵抗性の場合、手術適応となります。

骨切除術 骨切除術には、「外脛骨が痛みの原因だから取ってしまいましょう」というだけではない、深い意味があります。
外脛骨障害の方は扁平足が合併していることが多いことが以前より指摘されており、この原因について、Kidnerは1929年の論文の中で、外脛骨と舟状骨が結合しているため、後脛骨筋のもつ足の縦アーチを保持する機能が損なわれているからだと述べています。
後脛骨筋は内くるぶしの下を通って足の内側を走り、舟状骨の手前で3本の腱に分かれ、1本は舟状骨に終わり、1本は足裏の真ん中から外側にかけての骨にくっついて終わります(もう1本はここでの趣旨からはずれるので省略します)。後脛骨筋が収縮すると、足裏の真ん中から外側の骨を内上方に引き上げる力が加わって、土踏まずのアーチ構造を動的に保持します。外脛骨は後脛骨筋腱がスプリットする場所にあります。
ところが、外脛骨が舟状骨にくっついていると、外脛骨が動けないため、スプリットした後脛骨筋腱の3本のうち、足裏の真ん中から外側にかけての骨にくっついて終わる1本は、付着する骨に力を加えることができません(後脛骨筋の力はすべて舟状骨に伝わってしまいます)。その結果、後脛骨筋のもつ動的なアーチ保持機能が働かないため、外脛骨障害では扁平足を合併する割合が高いのではないかとKidnerは考えるわけです。
この観点からすると、痛みの原因となっている線維もしくは軟骨結合を含めた外脛骨を後脛骨筋腱の中からくり抜き出す「骨切除術」には、単に痛みの原因を取り除くというだけでなく、外脛骨-舟状骨の結合によってトラップされていた後脛骨筋腱を解放することで、後脛骨筋腱の本来もつアーチ保持機能を取り戻し、扁平足が改善することを期待する、という意味も込められています。
「期待する」というのには訳があります。外脛骨障害に対して骨切除術をした結果、扁平足が改善した、と報告している文献もあれば、扁平足は変わらなかった、と報告している文献もあり、Kidnerの仮説以来90年近く経った今も、見解は一致していません。さらには、後脛骨筋がどの程度、足のアーチを保持するのに寄与しているかも(骨自体もしっかりとアーチを保持しているわけですから)分かっていません。
しかし、本来、腱の動きを助ける「種子骨」であるべき骨がほかの骨とくっついていたら何らかの腱の機能不全が起きてもおかしくはないと考えれば、外脛骨による痛みが出現した際、これを機に、腱本来の機能を取り戻すという意味で、積極的に手術を検討してよいと考えています(とくに骨に可塑性のある小児においては、より扁平足の改善が期待できるため、よい適応と考えています)。
「骨切除術」の方法ですが、大きく2種類の方法があります。1つ目は、1925年にGeistが発表した後脛骨筋腱から外脛骨をくり抜きだす方法で、もう一方は、1929年にKidnerが発表した外脛骨と舟状骨の出っ張った部分を切除したのち、後脛骨筋腱を舟状骨に再接着する方法です。いずれの方法も治療成績は良好と報告されており、多くの施設ではいずれかの骨切除術が行われています。
いずれの方法も良好な治療成績なのでよいのですが、改善点がないわけではありません。Geistの方法では、外脛骨を切除したのちの舟状骨の出っ張りによって、かえって突出が目立ってしまったり、そこが靴にあたって痛いなどの愁訴をうむことがあります(ネットでもこのことを訴えている書き込みがありました)。また、Kidnerの方法では、後脛骨筋腱をいったん骨から切り離し、それを骨に再接着する点に改善の余地があると考えています。
そこで当院では、外脛骨を後脛骨筋腱からくり抜きだしたのち、出っ張った舟状骨に対して特殊な骨切りを行うことで出っ張りをなくす、後脛骨筋腱を骨から切り離さない方法で手術を行っています。
経皮的ドリリング、
骨接合術
外脛骨と舟状骨を骨性にくっつけることで、損傷の加わった線維性もしくは軟骨結合からくる痛みをなくす手術法です。骨切除法と違って扁平足の改善を期待できる手術法ではありませんが、腱自体に手術操作を加えないというメリットがあります。早期復帰を目指すスポーツ選手などに適応があります。
8.変形性足関節症

① なんとなく足首が痛いときがある。
② 足首の骨折をしたことがあるが、最近痛みが出始めた。
③ 若いときにスポーツを熱心にやってきたが、最近調子が悪い。

足関節は、脛骨腓骨でつくられる凹に、距骨の凸がはまりこんだ形をしていますが、昔の骨折や捻挫などが原因で、凹と凸のはまりがくずれ、レントゲン上で骨の変形が見られてくることがあります。また、とくに外傷歴がなくても、年齢的な変化により、そのような変形が見られることもあります。装具などでの保存的加療が有効でない場合、手術によって痛みの改善を図ります。
変形性足関節症の手術法の選択は、足の外科学会の中でもまだ手探りです。足の外科専門病院では、LTO(低位脛骨骨切り術)、DTOO(遠位脛骨斜め骨切り術)、人工足関節置換術、関節鏡下足関節固定術などが行われていますが、それぞれ一長一短あり、まだ決定打がありません。一般に、変形性足関節症の手術は侵襲が大きくなることが多いため、当院では逆に、なるべく低侵襲で最大限の効果が上げられるような術式を選択しています。

関節鏡下骨棘切除術 レントゲン上、足関節に骨棘と呼ばれる余計な骨が多くできている場合、その骨を削るだけで、症状が大きく改善する場合があります(骨棘同士がぶつかっている場合、骨棘が軟部組織を刺激して痛い場合、骨棘ができて関節の動きが制限されることにより関節面のある部分に圧が集中してしまっている場合、などです)。関節鏡のための5mmの傷が数か所の低侵襲な手術です。骨切り術や関節固定術、人工関節などの侵襲の大きな手術を行う前に行ってみる価値のある手術法と考えています。
踵骨骨切り外方移動術 変形性足関節症の多くは、距骨が内反しているために、足関節の内側の関節面に応力が集中します(鉛筆の背と先端で同じように皮膚を押せば先端で押したほうが痛いように、体重を関節面の狭い範囲で支えると、それだけ関節痛が強くなります)。この術式では、踵骨を骨切りして外側に移動することにより、荷重軸を外にずらし、内側に集中していた応力を分散させます。
人工足関節置換術 高度な変形のため、骨切り術では症状改善が期待しにくく、足関節固定術は希望されない方に対して行う手術です。小走り程度なら問題ありませんが、スポーツは控えていただく必要があります。オーダーメイドの人工距骨を併用します(人工距骨の作成には1か月半程度かかります)。
関節鏡下足関節固定術 関節固定術は、変形性足関節症に対する手術法の中で、もっとも安定した治療成績である手術法です。「関節固定」というとかなりの不自由になってしまうと思われがちですが、足の関節は「距腿関節」と「距骨下関節」という2つの関節が上下に並んでおり、でこぼこ道に対応するのはおもに「距骨下関節」のため、この手術法で「距腿関節」を固定しても、日常生活への支障はごくわずかです。
当院では、関節鏡を用いて関節固定術を行っています。1cm程度の傷口が数か所でできる低侵襲な術式です。
9.足関節後方インピンジメント症候群(三角骨障害)

① サッカーやバレエをやっているが、アキレス腱の奥のほうに痛みがある。
② 足首を最大限伸ばすと痛みが走る。
③ 母趾を無理やりに伸ばしたとき、足首付近に痛みが出る。

距骨の後ろには、「三角骨」という骨がくっついていることがあります(この骨が、距骨とひとつの骨として連続していることもあり、このような形態のときは、「距骨後突起」と言います)。三角骨は2.7-7.7%の人にあると報告されており、比較的まれな解剖学的破格です。
このような骨があると、足首を伸ばしたとき、距骨の上下にある脛骨と踵骨のあいだにはさみ込まれます。はさみ込まれる動作が頻回に行われると、三角骨がぐらついて炎症を起こしたり、距骨後突起が疲労骨折を起こしたりすることがあります。
三角骨や距骨後突起がなければ、このようなことは起こりません。また、足首を伸ばす動きを頻回にすることがなければ、このようなことは問題になりません。たまたま「三角骨や距骨後突起がある」人が、たまたま「足首を伸ばす動きを頻回にするスポーツ(バレエやサッカーなど)をしている」場合、この三角骨や距骨後突起が痛みの原因となります。2つの条件がたまたま重なってはじめて症状が出るので、ある意味accidentalな疾患です。
保存的加療で症状が軽快しない場合、手術によって症状の改善が期待できます。

内視鏡下三角骨
切除術
アキレス腱の両側に5mmの傷口を2つ作り、一方から内視鏡、もう一方から器具を入れ、内視鏡で見ながら三角骨(もしくは距骨後突起)を切除します。骨を切除したのち、母趾を曲げる腱(長母趾屈筋腱)の腱鞘が厚くなっていて腱の動きを悪くしているとき(長母趾屈筋腱は三角骨の真横にあるので、腱鞘炎を起こしていることがよくあります)は、腱鞘の切開を追加し、腱が滑らかに動くようにします。
当院では、2.3mmの細い関節鏡を用いたり、関節鏡の視野を確保するworking spaceの作成の際、軟部の郭清を最小限にするよう手技を工夫していることなどにより、術後1週間程度でスポーツ練習に復帰できる方が増えてきました。
10.距骨骨軟骨損傷(距骨壊死)

① なんとなく足首が痛い。
② 足首がこきこき鳴る。
③ ときどき足首の力がぬけることがある。

外傷後に距骨の一部もしくは全部が壊死に陥ったり、壊死にはならないまでも表面の軟骨が剥げ落ちている場合があります。剥がれ落ちた骨軟骨片が関節内をふらふらしていると、ときどき骨に挟み込まれ、音がしたり力が抜けたりします。レントゲンではわかりにくいため、ときどき見逃されることもあります。

経皮的ドリリング 表面の軟骨が剥げ落ち、下の骨が露出している場合、骨の表面をドリリングすることで出血を促し、線維軟骨を再生させます。
距骨海綿骨移植術 距骨が壊死している場合には、腸骨から採取した海綿骨を移植する手術を行います。
人工距骨置換術 距骨が広範囲にわたって壊死に陥っている場合、腸骨から採取した海綿骨を移植するのでは対応しきれません。このような距骨壊死に対して、これまでは、壊死した距骨と脛骨とを無理やりに関節固定したり、距骨を抜き去ったのちに距骨の上下にある脛骨と踵骨とを骨癒合させたりするなど、問題点の多い術式しかありませんでした。
そこに登場したのが「人工距骨」です。健側の距骨のCT画像をもとに、あらかじめオーダーメイドの人工距骨を作成しておき、手術では、壊死した距骨を取り去ったのちその人工距骨を挿入します。術後は2週間のギプス固定後、←とくに制限なく歩行を許可します。
人工距骨の痛みの減少効果には目を見張るものがあり、今後、適応は拡大していくと考えています。
11.糖尿病性足病変(糖尿病性足潰瘍、糖尿病性足壊疽)

① 糖尿病があり、足が感染を起こして赤くはれ上がっている。
② 糖尿病があり、足に孔があいていて、そこから膿や汁が出続けている。
③ 糖尿病があり、足が灰色に腐ってきた。悪臭がする。

軽微な外傷や胼胝、深爪などによって足の皮膚に微小な傷ができ、そこからばい菌が侵入して、足の皮下に広がった状態です。蜂窩織炎でとどまっている場合は抗生剤点滴による保存的治療が可能ですが、瘻孔ができたり、壊疽となったりした場合は、外科的な処置が必要です。
外科的処置の必要性については異論のないところですが、この「外科的処置」を施す範囲(すなわちメスを入れる範囲)の決定については、よい指標がありません。そのため、「不十分な」外科的処置により感染が制御できずに結局大切断に至ったり、もしくは「十分すぎる」外科的処置のために必要以上に大きな侵襲(小切断を含む)となったりすることもあります。
そこで当院では、「瘻孔造影3D-CT」という方法を独自に考案し、外科的処置の範囲の決定を行っています。これは、皮膚にできた外瘻から造影剤を注入し、皮下に広がるポケットの範囲を3D-CTで描出する方法です。手術では、ポケット部をすべて開放すべく皮膚を切除し、洗浄・デブリードマンを行います。
この方法は「ポケットがあるからこそ、感染が制御できない」という考えに基づいています。組織には血液が流れていますので、血行に乗って抗生剤が到達できますが、ポケット部は血行がないため、抗生剤をいくら点滴しても届きようがありません。その結果、抗生剤からの攻撃を受けない環境で、ばい菌たちはぬくぬくと増殖を続け、いつまでも感染が制御できない状態が続きます。逆にポケット部がなくなれば、ばい菌は抗生剤の攻撃からのがれることができず、すみやかに感染は収まっていきます。
瘻孔造影3D-CTによって精確にポケット部を把握できるようになってから、以前であれば切断と考えざるを得なかった症例でも、切断しないで治療することが可能になっています。

洗浄・デブリードマン 瘻孔造影3D-CTで皮下に広がるポケット部を把握します。手術ではそのポケットをすべて開放するように皮膚を切除します。開放創を十分に洗浄し、壊死組織を除去します。術後はVAC(持続陰圧療法)を行うこともありますが、感染が速やかに収まることが多いため、省略することもあります。感染徴候がなくなり、あとは肉芽の盛り上がりと皮膚の再生を待てばよい状態になったところで退院、外来フォローアップとなります。上皮化までには数か月を要しますが、皮膚はきれいに再生します。
なお、以上の治療法は神経障害に起因する糖尿病性足病変に対する方法で、末梢動脈疾患に起因する糖尿病性足病変に対しては別の治療法となります。
12.踵骨骨折後遺症(踵骨骨折変形治癒・変形癒合・後遺障害)

○踵骨を骨折して以来、痛みが取れない。

踵骨骨折はさまざまなタイプがありますが、ここでは特に痛みを残しやすいタイプについて述べます。
高いところから落下するなどして踵骨に強い力が加わると、踵骨は前後に分断されます。このうち、後ろ側の骨片は、①上からの力で陥没した関節面の骨片、②上からの圧力で横に膨らんだ外側壁の骨片、③残りの大きな骨片(接地する部分です)、の3つに分かれます。
これらの3つの骨片がずれたまま癒合したとき、それぞれによって異なる痛みが残ります。

①関節面が陥没して、関節の動きがいびつになることによる痛み、変形性関節症の痛み。
②膨らんだ外側壁に押し上げられた腓骨筋腱の腱鞘炎の痛み。
③以前と違うところで接地していることによる足裏の痛みや、荷重軸のずれ、扁平足などによる痛み。

手術では、これら3つの骨片をいかに戻すかがポイントとなります。

矯正骨切り術 踵骨骨折の手術は、意外なことに、新鮮骨折よりも先に変形治癒の手術が進歩しました。
踵骨骨折を正確に把握できるCTも骨折部の良い固定材料もない20世紀前半は、踵骨の新鮮骨折の手術は大変難しいものだったため、まずは保存的に治療し、残った変形癒合に対してはじめて手術をする、という治療方針でした。その結果、新鮮骨折よりも先に変形癒合の手術のほうが進歩したのです。
20世紀後半になると、CTによる骨折形の詳細な評価、固定材料などの進歩、関節内骨折の理解の深まりなどに伴って、新鮮踵骨骨折に対してより積極的に手術が行われるようになり、手術方法にも進歩が見られ始めました。実はその傾向は現在も続いており、新しい手術法が数多く報告されています。
トレンドが新鮮骨折の手術法にシフトしたからでしょうか、変形癒合の手術は1957年のGallieの論文を最後に目立った進歩はなく停滞気味です。手術法もいくつかの方法が散在するだけで、骨折形の評価や手術の適応に明確な基準がいまだにない状態です(変形癒合で唯一の分類である1996年のStephens & Sandersの分類は、変形癒合の骨折形と手術法とを対応させていますが、独立して扱える骨折形を混ぜて分類している点や、距骨下関節の固定を安易に行ってしまう点に不備があると考えています)。
そこで当院では、変形癒合の骨折形のクリアーカットな評価法(①関節面:陥没2mm以内/陥没2mm以上/粉砕、②外側壁の膨隆:なし/あり、③踵骨体部の転位(calcaneal pitch angle):20°以上/20°未満)と、下記のようなどの骨折形の組み合わせにも対応しやすい手術法を考案し、手術を行っています。
横に膨隆している外側壁は、本来の外側壁のあった場所まで切除します。陥没した関節面は骨切りして押し上げ、下にできたスペースに、切除した外側壁の骨を移植します(壊滅的に関節面が痛んでいるとき以外は、なるべく関節固定術は行わないようにします)。接地する部分の骨片は弧状に骨切りして引き下げ、足の縦アーチを復活させます。距骨下関節の動きが悪いときには授動術を加えます。骨切り部を固定した際に足関節の背屈制限が著しい場合には、アキレス腱延長を追加します(説明をわかりやすくするため、実際の手術の手順とは若干異なっています)(外側壁切除と距骨下関節授動術は1908年のCottonの方法のアレンジ、距骨下関節浮上術は慶應大の宇佐見先生の本から、踵骨弧状骨切り+アキレス腱延長はオリジナルです)。
この方法は、それぞれの変形癒合に対する手術の組み合わせでありながら相補的に作用している点(踵骨骨切りをすることで授動術が行いやすくなる、授動術によって関節面の評価と陥没部の浮上もしやすくなる、切除した外側壁は移植骨に使える、など)がメリットです。
距骨下関節鏡 踵骨骨折後遺症の中で、距骨下関節が癒着しているために、可動域が制限され、動きに伴って痛みが出ることがあります。この場合、関節鏡で距骨下関節の癒着を剥離すると、症状を改善することが期待できます。骨の変形が少ないにもかかわらず痛みが続く症例では、まず最初に検討してよい手術法です。
13.陳旧性足関節外側靭帯損傷、足関節炎、足関節不安定症、足関節捻挫後遺症、os subfibulare

① スポーツの後に足首が腫れる。
② 捻挫をして以来、なかなか痛みが取れない。
③ 足場の悪い道でつい捻挫しそうになる。

何度も捻挫を繰り返すことで、足関節外側靭帯(主に前距腓靭帯)がゆるんでしまい、足関節が不安定になっている状態です。 捻挫の既往がなくても、もともとの体の柔らかさで足首が緩い場合もあります。 サポーター、バランスボードやトランポリンなどを使った足首のバランス感覚をよくするリハビリでも症状の改善が見られない場合、手術の適応となります。

関節鏡 足首が緩い状態が続くと、滑膜という炎症を起こす組織が足関節内に増えてきたり、軟骨が痛んできたり、余計な骨ができてきたりします。関節鏡で足関節内を観察すると、これらの状況が正確に把握できます。痛みの原因となる滑膜はできるかぎり焼灼します(動脈や神経の近くにあることが多いので、すべてを取りきることはできません)。軟骨損傷が軽度の場合は、距骨にドリリングを行うことで、線維軟骨の再生を促します。脛骨や距骨にできた骨棘は可動域制限の原因となるため削ります。
靭帯縫合術 Bronstrom-Gould変法という世界的にスタンダードな方法で、ゆるんだ靭帯を縫縮・補強します。遺残靭帯の質が保たれている方では良好な成績です。ファイバーワイヤーによる人工靭帯を併用することで強度を高めています。
靭帯再建術 何度も捻挫を繰り返している方では、残っている靭帯の損傷がはげしく、Bronstrom-Gould変法では対応できない時があります。そのときは、骨付き大腿四頭筋腱を用いた靭帯再建術を行います。
14.扁平足(偏平足・後脛骨筋腱機能不全症)

① 扁平足があって、内くるぶしの下が痛い。
② 扁平足があって、つま先立ちがしにくくなってきた。

扁平足であっても症状がない場合、それは個性であって、治療の対象にはなりません。
扁平足が原因で痛みを伴う方や、扁平足を伴って後脛骨筋という筋肉の働きが落ちてきた方が治療の対象となります。土踏まずを上げるインソールで改善が見られない場合、手術の適応となります。
2007年にMyersonらが発表した扁平足の分類は、古くからあるそれまでの治療法を、扁平足の病態と合わせて整理しなおしたすばらしい分類です。これによって、今まで適応の違いが明確でなかったいくつかの術式も、病態によって明確に適応を分けることができるようになりました。新しい分類法ですが、すでにアメリカではゴールドスタンダードになりつつあります。日本での認知はまだまだなようです。
この分類によれば、一見同じように見える扁平足も、かかとの骨が外向きであるもの、足の内側の骨が不安定でアーチがつぶれているもの、前足が外を向いているもの、という3つの病態に大別されます。患者様の扁平足がどの病態の組み合わせでなっているかを検討することで、最適な術式を選択します。

踵骨骨切り内方移動術 かかとの骨が外に向いている場合に行います。踵骨を関節にかからないところで斜めに骨切りし、地面に接地するほうの骨片を内側にずらしてスクリュー固定します。荷重軸をずらすことで筋のバランスをよくします。
古くは1893年にGleichが行った手術法ですが、Koutsogiannisが1971年に行ってから次々と良好な成績が報告され始めました。ほとんどのケースで症状の改善は期待できますが、外見上の改善はあまり期待できません。ただ、扁平足手術の軸となる手術法ではあります。
踵立方関節延長固定術・
踵骨外側支柱延長術
前足が外向きのときに行います。踵骨・立方骨・舟状骨の3つの骨はL字をなして距骨を取り巻いていますが、踵骨が相対的に短いと、そのぶん舟状骨の距骨へのかぶりが浅くなります。すると、立方骨・舟状骨につながるそれ以遠の骨たちは外向きになり、外見上、前足が外向きなります。この手術法では、相対的に短い踵骨を長くすることで、距骨に対する舟状骨のかぶりをよくします。
この術式は1975年にEvansの論文として発表されましたが、彼は多大なる医学的貢献を果たしたこの論文が世に公表されるのを目にすることなく、その前年に64年の生涯を閉じています。
内側楔状骨骨切り術 内側のアーチがつぶれているときに行います。内側の骨をつなげる靭帯がしっかりしているときには、内側楔状骨を骨切りすることでアーチを形成します。靭帯がゆるい場合には、内側楔状骨と第1中足骨を癒合させることで、しっかりしたアーチを形成します。
この骨切り術は1936年にCottonが発表して以降、扁平足の治療に使われたという論文はほとんどありませんでしたが、Myersonの包括的な分類の一部を占めることで、華麗なる復活をとげました。
長趾屈筋腱移行術 後脛骨筋が伸びてしまったりすり切れていたりして、十分な筋力が期待できない時には、上記の術式に加えて腱移行術を追加します。他の手術法と併用することで、再発を遅らせることができると報告されています。
15.踵骨骨嚢腫(単発性骨嚢腫、単発性骨嚢胞)

単発性骨嚢腫は、骨の中に空洞ができるまれな疾患です。足部では主に踵骨に発生することがあります。特に症状のない場合は放置していても構いませんが、病的骨折を起こす可能性が高い場合、実際に病的骨折を起こした場合などは手術適応となります。

内視鏡下人工骨充填術 踵骨骨嚢腫はまれな疾患のため、過去の論文もcase reportやcase seriesなどがほとんどです。そのため、各治療法の治療成績の比較ができず、最適な治療が確立されていません。主だったものとして、空洞を骨で埋める「骨移植」、空洞内の骨形成を期待する「ステロイド注入」や「中空スクリューによる減圧」などの方法が報告されており、それなりに良好な成績と報告されています。
当院で行っている「内視鏡下人工骨充填術」は2005年に島根医大の西先生が、英語論文では2006年にMainardが発表した方法で、踵骨に対し5mm程度の穴を2つあけ、片方からカメラを挿入し、もう片方から人工骨ペーストを充填する方法です。人工骨ペーストの成分は、リン酸四カルシウム(tetracalcium phosphate; TeCP)系リン酸カルシウムセメント(calcium phosphate cement; CPC)というもので、硬化するまでの時間が10分あるため、骨内の空洞に密に充填することができ、強度は皮質骨と海綿骨の中間程度(圧縮強度(MPa);皮質:90-160、海綿骨:2-7、TeCP:50)と強く、最大強度は8時間で得られるため、手術の翌日から全荷重歩行可能(スポーツも可)となります。また、この人工骨は、最終的に骨へと置換されることが基礎、臨床研究でわかっています。
この術式は他の部位にできた単発性骨嚢胞に対しても有効で、当院では他に第1中足骨に対しても施行し、良好な結果を得ています。
16.中足骨短縮症

1本の中足骨だけ短い(主に第4中足骨。2本の場合もあります)ため、外見上、その足指だけ不揃いな状態を言います。0.02~0.05%に発生し、男女比は1:25、両足例が72%と報告されています。先天性のほか、外傷・熱傷・感染・若年性リウマチ・腫瘍・放射線・ポリオなどの後天的な原因により、骨端の成長が早期に停止して起こります。痛みがある場合は手術の適応と言われていますが、コスメティック的な理由でも手術することがあります。
手術は、一期的に矯正する方法と、創外固定を用いながら緩徐に矯正する方法とがあります。どちらにも長所・短所があるため、患者様の意向も考慮に入れて手術法を選択します。

一期的矯正 短い中足骨を骨切りし、引っ張ってできたスペースに自家骨を移植する方法です。手術が一回で終わるというメリットの反面、一回の手術という短い時間で引っ張って伸びることのできる長さには限度があるため(無理をすると皮膚や神経血管を傷めます)、矯正できる長さに限界があります。1 cm未満の矯正に適応があります。
創外固定による
緩徐な矯正
創外固定を用いて緩徐に伸ばしていきます。皮膚や神経血管も緩徐に伸びるため、大きな矯正ができる一方で、長期間創外固定をつけていなければならない点がデメリットです。1 cm以上の矯正が必要な際に適応があります。
創外固定を用いた方法では、仮骨延長法(骨切りした間隙に仮骨ができるのと同期させて間隙を広げていくことで、骨を伸ばす方法)が一般的ですが、当院では、1989年にUptonらが発表した、中足骨を骨切り後、創外固定で皮膚や神経血管などの軟部を延長し、できた骨切り部の間隙に自家骨を移植する方法を行っています。この方法は、創外固定装着と自家骨移植の2回の手術が必要ですが、一期的矯正と比べて十分な矯正が可能で、仮骨延長法と比べて創外固定の装着期間が短く(3週間程度。仮骨延長法は3か月程度です)、技術的な難しさがない点がメリットです。
二期的矯正 一期的矯正を2回行う方法です。中~長期間創外固定を付けなければならない苦痛を回避し、十分な矯正を可能にします。1回目の手術後のリハビリで十分に組織が軟らかくなった後(1年以上が見込まれます)、2回目の手術を行います。
17.足根管症候群

①立ち仕事をしていると、足裏にいやな痛みしびれが出る。
②夜寝ていると、足裏にいやな痛みしびれが出る。

足裏に痛みしびれがあり、原因が腰椎疾患でない場合、足根管症候群のことがあります。原因は、屈筋支帯直下の占拠性病変(ガングリオンや良性腫瘍、外骨腫、滑膜など)による神経の圧迫や、母趾外転筋の内側にある隔壁(筋間中隔)での神経の絞扼などです。占拠性病変が明らかな場合、もしくは、占拠性病変がなく注射での保存的治療で改善しない場合は手術適応となります。

神経除圧術 足根管症候群という名称は「手根管症候群の足版」(手術でも足根管をつくる屈筋支帯を切ればおしまい)という印象を与えかねませんが、Mackinnonは1987年、手と足の解剖学的類似性についての論文を発表し、手根管と足根管は解剖学的には対応しない構造物だと述べています。
具体的には、足の(足根管を作る)屈筋支帯は手の前腕筋膜と対応、手の手根管(+ギヨン管)は、足の母趾外転筋の筋膜起始部による内外足底神経のトンネルとが対応する構造物だと述べています。この対応で考えると、足根管症候群において足の屈筋支帯だけを切開するのは、手根管症候群において前腕の筋膜だけを切開するだけに対応し、不十分だとMackinnonは考え、翌1988年、足根管症候群の手術として、足根管を形作る屈筋支帯を切開すると同時に、母趾外転筋筋膜起始部まで切開する新しい手術法を発表しています。
Mackinnonの概念と手術法は長いこと注目されませんでしたが、2008年、MullickはMackinnonの手術法を改良した手術法で行った77足について、それまでの報告(多くは5,6割の改善率です)を2割近く上回る良好な治療成績だったと発表しました。当院では、Mullickの方法に準じて、屈筋支帯を切開すると同時に、母趾外転筋筋膜起始部の内外足底神経間の隔壁を切除する方法を行っています。
18.腓骨筋腱脱臼

足を背屈させると外くるぶしの上に腱が乗り上げる状態を言います。痛みを伴う場合は手術適応です。

Das de法 脱臼するスペース(仮性嚢と言います)を縫縮する手術を行います。
19.アキレス腱断裂

スポーツをしたい、もしくは、なるべく仕事に早期復帰したい方は手術を、スポーツはしない、もしくはギプスをしていても仕事には困らない方は保存的加療をお勧めしています。手術は、ご希望次第では局所麻酔で日帰りでも行うことができます。

サイドロッキング縫合 島根医大の先生方の一連の研究により開発された方法で、初期固定力の高さにより、内山法と同程度に早い復帰が可能です。
20.脳梗塞後の足部変形
腱固定術・腱移行術・
腱延長術
脳梗塞発症後6カ月以上経った方に対し、残存する麻痺の程度に応じた手術法を行い、装具なしで生活できることを目指します。
創外固定を用いた
変形矯正
拘縮の強い変形に対しては、創外固定を用いて緩徐に矯正します。
21.フライバーグ病

歩行時や歩行後に第2趾の付け根あたりに痛みが出ます。レントゲンで中足骨に変形・壊死が見られます。

骨軟骨柱移植術 2008年に島根医大の宮本先生が発表された方法で、膝から採取した骨軟骨柱を第2中足骨に移植します。
22.脳性麻痺による足部変形

重度の脳性麻痺児は全身管理の問題、中等度の脳性麻痺児は療育の問題から、心身障害児施設で加療を受けるのが最適と思われます。当院で治療可能な脳性麻痺の方は、
① 普通学級に通うが軽度の足部変形がある。
② 成人となり社会人として働いているが、最近タコがひどくなってきた。
などに限られます。他の脳性麻痺の方は信頼できる病院に紹介いたします。

腱延長術 スライド延長やfractional延長、筋内切腱術など、程度に応じて最適な方法で腱延長します。
担当医紹介

担当医

中島健一郎
H15東大医学部卒
日本整形外科学会専門医
障害者福祉法指定医
義肢装具等適合判定医
日本整形外科学会認定リウマチ医
日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医

当院のご案内

  • \"お問い合わせ電話番号
  • 外来診療時間

      受付時間 診療時間
    午前  8:00~12:00  9:00~13:00
    午後 12:30~16:30 14:00~17:30

    土曜日は、午前のみの受付・診療になります。

  • 休診

    日曜祭日と年末年始
    (12月31日~1月3日)

    ※急患はこの限りではありません

  • 所在地

    八潮中央総合病院
    〒340-0814
    埼玉県八潮市南川崎845番地
    TEL:048-996-1131
    FAX:048-997-2135